●氷見の服役男性 無実判明
2002年の強姦事件 富山県警が誤認
真犯人は松江の男 捜査ミス謝罪
無実の男性を誤認逮捕した経緯について、記者団に説明する小林勉刑事部長=19日、富山県警で
富山県警と富山地検は十九日、二〇〇二年に強姦(ごうかん)や同未遂容疑で逮捕、懲役三年の判決を受けて服役した同県氷見市在住の男性(34)=住所、年齢とも逮捕当時=が、無実だったことが分かったと発表した。男性は〇五年一月に仮出所し、身柄拘束は約二年九カ月に及んだ。地検は再審請求する方針。
地検は再審請求へ
県警は、現場に残っていた足跡が男性のものと一致しないことを認識しながら逮捕しており、捜査ミスを認めている。
有罪が確定した無実の人が名誉回復を受けるためには再審、金銭面の補償には刑事補償や国家賠償などの手続きが設けられている。
男性が逮捕された二件の事件について、県警氷見署が〇六年十月に逮捕した松江市西川津町、無職大津英一被告(51)=強姦などで公判中=が自白。調べに対して犯行を詳細に供述し、足跡が一致したことなどから、県警は同被告の犯行と判断し、十九日再逮捕した。
県警による任意の事情聴取に当初は男性は「やっていない」と否認していたが、三度目の聴取で自白してからは、判決まで一貫して犯行を認めていたという。
誤認逮捕について、県警と地検は「男性が容疑を認め、被害者の証言もあった」と釈明。一方で「犯行時間に男性宅で電話通話記録があり、アリバイが成立する可能性などをつめなかった」などと捜査の不備を認めた。
県警刑事部の幹部は十七日、男性の親族宅を訪れ謝罪した。県警は「男性に直接おわびしたい」とするが仮出所以降、行方が分からないという。
県警は〇二年四月十五日、県西部で三月中旬にあった強姦未遂の疑いで男性を逮捕。富山地検が別の強姦なども含め起訴し、同年十一月に富山地裁高岡支部で実刑判決が確定した。
富山地裁は「県警と地検の発表について、とくにコメントすることはない」としている。
心からおわびする
富山県警の小林勉刑事部長の話 誤認逮捕した男性に心からおわび申し上げる。今回のことを重く受け止め、真相の究明と再発の防止に努めたい。
忠実な捜査怠った
富山地検の話 基本に忠実な捜査を怠り、客観的な証拠への問題意識が足りなかった。捜査が不十分だったと認識しており、申し訳ない。本件について必要な捜査を遂げて、事実関係の確定を急ぐ。しかるべき時期に再審請求することを検討したい。基本に忠実な捜査を徹底し、再発防止に努める。
2006年1月20日 中日新聞富山
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