強盗男が奪ったカネに“おわび”の1万円を足した35万円を東京都国立市
の被害郵便局に返したうえ、「悪いことをした」と罪悪感にさいなまれた末、
11日なって自首した。犯行に使った包丁とリュックも持参した。逮捕され
た男は植木職人で、自宅は郵便局からわずか700メートルほど。「生活が
苦しくてやった」と話している。
◇立川署に強盗容疑で逮捕されたのは東京都国分寺市内藤の造園会社社員、三
石賢二容疑者(33)。11日午前4時半ころ、同署受付で「ちょっと話が
ありまして…」と切り出し、「郵便局強盗をしました」と自首。犯行に使っ
た赤いリュックと包丁(刃渡り約15センチ)を持参していた。
調べでは3月29日午前10時ころ、隣接する国立市の国立東郵便局に押し
入り、カウンターの女性局員に包丁を突きつけ、34万円を奪った疑い。
ニット帽にサングラス姿で、包丁と一緒に「1分以内に500万円用意しろ。
1分に1人ずつ殺す」のメモを突き付けたが、女性局員が手元にあった34
万円を渡すと、リュックに入れて逃走。
約2カ月後の先月30日午後5時ころ、三石容疑者はマスクで顔を隠して同
局を訪れ「カネを返しに来た。総務部長さんにこれをお願いします」と同じ
女性局員の前に35万円入りポリ袋を置き、そのまま逃走。局長が自転車で
追ったが見失った。
そして今月11日に自首。「生活が苦しくなり強盗をした」が、犯行後は
「(罪悪感で)仕事も手につかず、ずっと悩んでいた」。返金の際には「悪
いことをしたので1万円多く返した」が「捕まりたくはなかった」とも。し
かし良心の呵責は強まるばかり。「苦しみに耐えきれず出頭しました」と話
している。
「34万円のいくらかは犯行後に使ったようだ」と捜査関係者。局員が差し
出した34万円のほとんどは5000円札だったが、返した35万円はすべ
て1万円札だった。
国立東郵便局から三石容疑者方アパートまではわずか700メートルほどで
「2、3度利用したことがある」と供述。独り暮らしの三石容疑者は造園会
社で職人として働いていた。同郵便局近くの別の植木職人は「今はちょうど
繁忙期。仕事で美しい新緑を目にするうち、自首する気になったのでは」と、
あきれていた。
サンスポ(06/06/12) |